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現在、アメリカの株価は、ハイテク銘柄が大幅に下落する一方、石油・小麦などのコモディティ、資源関係は堅調に推移するなど、セクターによって大きな差があります。
昨年のハイテク株絶好調時期から、1年でこれだけの違いが生まれたのには、アメリカの利上げやインフレの高進、など、市場環境の変化が大きく関わってきました。
市場全体に、大きなセクターローテーションが起こっているのは明らかな状況です。
では、今回は、今後この流れはどうなっていくのか予想しようと思います。
【アメリカのインフレ率と賃上げの鈍化】
アメリカの4月の消費者物価指数(インフレ率)は8.3%でした。
これは歴史的インフレ率だった3月の8.5%から0.2%ポイント落ちたものの、依然としてアメリカのインフレが高い水準にとどまっていることを示しています。
一方、アメリカの今年4月の平均時給は31.85ドル(1ドル127.5円換算で約4060円)でした。
ちなみに昨年4月の平均時給が30.20ドル(1ドル127.5円換算で約3850円)ですので、1年間で大体5.5%平均時給が上昇したことになります。
数字を見ると、過去30年間、経済成長に乏しかった日本との差を痛感させられる凄さを感じますね。
話は逸れましたが、問題は月間インフレ率とはいえ、8.3%ものの値段が上がっているのに対して、賃金の伸びは5.5%にとどまるということです。
更に、3月~4月にかけては、賃金の伸びが鈍化しており、これは企業がこれ以上の賃金上昇に限界を感じ始めている証拠になります。
【購買欲が低下する原因】
❶インフレ率が賃金上昇率を大きく上回るということは、簡単に言うと買い控えがそろそろ起こってくる基準。
極端な話、例えば賃金が全く上昇しないのに、2倍にインフレしたら、2個買えていたものが1個しか買えなくなりますよね。
見方を変えると「企業は2個売れていたものが1個しか売れなくなる」ことになって、景気は悪化します。
これが、もう少しミクロな基準で起こり始めます。
❷利上げによって、住宅ローンの返済利子が高騰して、不動産を買う人が減る。
ローンの返済額が一気に高騰することで、不動産を買って転売することで儲けていた層が、損をするようになります。
これによって、不動産の売れ行きが次第に鈍化し、不動産バブルが崩壊します。
この不動産バブルの崩壊が、その他企業の景気に波及していきます。
❸繰り返される利上げでインフレ率に貯蓄した時につく利息の割合が近づいていき、使うより貯蓄する層が次第に増えていく。
こうなることで、購買欲が減少していき、インフレが落ち着くと同時に景気が悪くなっていきます。
上記の3点の流れで、今後おそらく米経済はリセッション(景気後退)局面を迎えると考えられます。
現在、FRB(連邦準備制度理事会)は、米経済をリセッションさせることなく、インフレ退治をすることを試みていますが、現在のインフレは過去数十年で最大規模のものであり、
いわば、とんでもない暴れ馬を制御する必要がある訳で、恐らくこれを景気後退させずに収めることはほぼ不可能である、と思われます。
【リセッション局面で有望な株】
景気後退局面で、有望な株は、ヘルスケア・消耗品系と言われています。
アメリカの株で言うと、ジョンソンエンドジョンソン(J&J)やプロクター&ギャンブル(P&G)などが代表的な株としてあげられるでしょう。
ただし、全体としては景気が悪くなっていきますから、どんどん上がるというよりも値段が他の株の下落に比べて緩やかであったり、あるいは反発するくらいに考えたほうが良いでしょう。
一方で、ここまで景気を引っ張ってきた石油や資源などの株は、景気後退に伴って、減速していきます。
では、ハイテク株はどうなのかというと、利上げが続く限りは、株価の上昇は限定的でむしろ下がっていきますが、このリセッション局面で大底をつけることが多いと言われます。
つまり、買い場になる可能性があるということですね。
【リセッション局面がいつ訪れるのか】
リセッションやデフォルトなどは、実際に起こった後しばらくしてから「この時期に起こっていました」と宣言されるので、リアルタイムでそれを捉えるのはかなり難しいです。
また、今後の世界情勢の変化も関わってきますので、個人が予測するのは非常に困難です。
ただ、私は恐らく今年の夏ごろからアメリカで小さな景気後退が起こりはじめ、今年の年末~来年にかけて、本格的なリセッションに入ると考えています。
日本はどうなのかというと、ザックリいうとアメリカに追随します。
アメリカの動きを見ていれば、大まかな日本の動きが分かるでしょう。
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