株式市場再編は骨抜き

市場再編の大まかな内容


<旧株式市場>

東証1部:2185社

東証2部:474社

ジャスダック:694社

マザーズ:424社

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<市場再編後>

プライム:1841社(経過措置296社)

スタンダード:1477社

グロース:459社

このように東証内に4つあった市場を、今回3つに再編しました。


市場再編の当初の目的


当初、4つある市場区分を見直す最大の目的はなんだったのでしょうか。

それは、東証1部の企業数が一番多いという逆ピラミッド型の市場の現状を見直すことにありました。

この見直しが必要な理由は大きく分けて2点あります。

1点目:日本の株価が低迷している一つの要因として、ある程度の実績で東証1部に昇格すると、あとはよほどのことがない限り降格がありません。

従って、一度昇格してしまうと企業努力がおろそかになりやすく、結果的に日本経済の成長を鈍らせてきた。

2点目:あまりに多い東証1部の企業数は、東証1部企業を包括する指数であるTOPIXを形骸化させてきました。

そのため、アメリカの30社に絞られたダウやNASDAQ500などの成長に大きく水をあけられていました。

★以上の理由から、日本市場を魅力的なものにするために、市場再編を行ない、逆ピラミッド型の東証を、上がせまく、下が広いピラミッド型に直す必要があったのです。


上場企業への忖度と有名無実化


しかし、いざ市場再編の準備を始めてみると、やはりというべきか東証1部上場企業からの反発も多くあり、どんどんと基準が甘くなっていきました。

そして、現在基準を満たさない経過措置中の企業も含めて、最上位のプライム市場には実に1841社もの企業が所属しています。

一応、流動時価総額や成長レポートの提出など、それぞれに新しい基準が設けられていますが、これまでの流れを見ると、おそらくこれも今後、有名無実化するのではないかと思われます。


どのように再編するのが理想的だったのか考える


プライム:500社(501社以上にならないように、随時入れ替える)

グロース:500~1000社(プライムに上がるか、スタンダードに落ちるか)

スタンダード:それ以外(上場ゴール、もしくは上位2つの市場の基準を満たさない企業)

これくらいに絞って、プライムは日経225やダウのように、入れ替え制を導入し、グロースを上に位置付けるくらいでよかったのではないかと思います。

こうすれば、プライムは日本の株式市場の顔となる指数として魅力が出てきたのではないでしょうか。


実質グロースのほうが投資妙味がある?


スタンダードのほうが、上場基準は一見厳しいんですが、2部から移行した企業も多く、上場ゴールの企業もかなり多いんですよね。

ですので、若くて伸びが見込めるグロースのほうを上に持ってきたほうが自然なのではないかと思います。

たしか、グロースに所属する企業は成長レポートのようなものを提出させられたはずです。

また、個人的にもスタンダードに所属する企業に長期で投資する旨味が感じられない(もちろん企業次第ではありますが)ので、一番下でいいと思います。


コストをかけて再編した意味はあったのか?


市場区分の甘さを見ていると、なんのためにわざわざコストと時間をかけてやったのか分からない部分も多く見受けられます。

結局、既存の1部上場企業に対する忖度が、中身の伴わない再編に繋がってしまったのではないか、なんのためにやったのかよく分からない状態になっているように感じます。

ただ、以前よりもプライム市場の選定基準がやや厳しくはなっていますので、全く無意味ではないとは思います。

ふたをあけてみて、時間が経過しないと見えてこない部分もあるので、今後に期待したいところですが、個人的には再編するなら、もっと思い切ってしたほうが日本市場が魅力的になったのではないかと思います。