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日産と言えば1990年代の経営危機から力強く立ち直り、リーマンショック直後の2009年には無配になったものの、その後増配を続け、2019年には中間・期末配合わせて57円、実に配当利回り6%を超える高配当銘柄として、多くの株主に支持されてきました。
ところが、2021年9月26日現在は再び無配に転落しています。
今回は、無配になってしまった過程と今後配当が復活するのか、について、2回に分けて書こうと思います。
日産自動車(7201)が無配になった過程と株価の下落
(出所:TradingView)
❶図の赤色で囲った①をご覧ください。
まず、なんといっても2018年11月に金融商品取引法違反の疑いで会長であったカルロス・ゴーン氏(以下ゴーン氏)が逮捕されたことが、一つの大きなきっかけになっていると思います。
※ゴーン氏については、日産の財産の一部私物化や逮捕後のレバノンへの逃亡など、まだ判決が出る前の状態で止まっているとはいえ、限りなくブラックに近い状態です。そのため、良くない感情をお持ちの方も多いと思いますが、当サイトではゴーン氏を断罪することが目的ではないので、ここではあえてゴーン氏と呼称させていただきます。ご了承ください。
ただ、主要提携先であるルノーとの関係悪化懸念があったものの、新しい経営陣に対する期待もあったため、株価はしばらくレンジ入りしました。
実際にフランス政府を巻き込んでのゴタゴタがあったものの、その後、日産・ルノー双方の労働組合の働きもあってそういった動きは下火になりました。
❷つづいて、上図の紺色で囲った②をご覧ください。
ここの下落は、前述のゴーン氏逮捕後のゴタゴタで十分な新車プロモーションが出来なかったことや、企業イメージの悪化などで業績も悪化しました。
また、2019/5/14の決算短信によると、前年度の配当実績57円から40円へと減配する予定であることが記述されていたことも株価の下落の要因になりました。
❸上図の紫色で囲った③をご覧ください。
ここでの下落は一見コロナでの下落のように思われますが、たしかに後半部分はコロナで欧州が次々にロックダウンされていく中で株価も大きく下落していきましたが、前半部分はまた別の要因がありました。
一つは2019/11/14発表の決算短信で、前回まで減配されたとはいえ40円を維持していたものを10円に修正したことです。
これは昨年度の配当が57円だったことを考えると、実に5.7分の1になるということで、悪い意味でインパクトがありました。
もう一つが
日産のEV(電気自動車)を所持していると契約できた月額2200円で全国の日産ディーラーと日本充電サービス(NCS)の急速充電器が使い放題であったプランが廃止される
という発表でした。
そもそもEVにはガソリン車と比較して、劣っている点があります。
それは
航続距離の問題で、自宅付近で使う分には心配ないが、例えば旅行などで長距離を移動した際に、ガソリンスタンドほどインフラが整っていないので、どこで充電できるのか不安になる。
というものと、
充電自体に時間がかかってしまうため、充電が完了するまで待っていなくてはいけない。
ということです。
この欠点は、環境への配慮やEV乗り換えの補助金を考慮したとしても、悩むレベルの問題でした。
そういったユーザーの気持ちに配慮して、日産が損をすると分かっていても、月額2200円で急速充電器が使い放題になるプランを提供したことで、実際にリーフなどの日産のEVを購入した層がいたことは間違いありません。
つまり、
EVを普及させることを先にして、台数が増えたEVに対応する形でインフラの整備が追いつき、更にEVが便利になって、日産の自社EVが売れていく。
という長期的な戦略に基づいたプランだったのです。
(例えば、公道を走るEVが少なければ給油所が急速充電システムを導入するメリットは少ないが、EVが多くなれば利益が上がるので、急速充電システムが導入される可能性が高まる)
私自身も次に買うなら日産のリーフかな、と思っていたところ、このプランが廃止になって全くその気がなくなってしまったので、おそらくそういう人は一定以上いたと思われます。
現にその後のテスラの伸長や世界市場の流れを見ると、ココで完全に日産はその潮流から取り残されてしまった感すらあります。
業績の悪化をこのプランを廃止することで、取り戻そうとしたのは、短期的な視点であり、本当にガッカリしたのを記憶しています。恐らく、外国人投資家を含め、多くの投資家が失望した決定でした。
❹コロナによる業績悪化と無配へ
そして、大幅減配と急速充電器使い放題プランの廃止ショックも冷めやらぬうちに、立て続けにコロナショックが襲い、ついに2020/7/28発表の決算で無配予想が出されました。
こういった過程で、日産自動車の株価は2016年~2018年ごろには900円~1200円のレンジで動いていた株価もコロナショックで一旦300円台まで下落した後、2021年は500~600円台と、3年前の株価の約半分という価格で推移しています。
【日産の配当は復活するか?②】につづく
新NISA(2024年) 20240203
トリガー条項発動を考える。 20240129
2024年からの新NISA 20230827
日本企業衰退の理由とは 20230812
日銀YCC修正の影響 20230803