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この1~2年で様々なものの値段が上がりました。
みなさんも、物価高を実感する機会は多いのではないでしょうか。
中でも、レギュラーガソリン(以下ガソリンと略)は政府の補助金で、165円~175円にかろうじて抑えられている状態です。
そこで今回は、よく話題に上るトリガー条項について考えていこうと思います。
【ガソリンは補助金がないといくらなのか】
2024年1月現在、ガソリンは政府から補助金が支給されているため、地域ごとに多少のバラツキはあるもののレギュラーだと165円~175円くらいです。
(セルフかフルサービスかによっても違いが出ます。)
私の近所のセルフガソリンスタンドでは、10日ほど前の値段は165円で、仮に補助金がない場合は、180円台前半でした。
つまり、差し引きすると、15~20円が政府の補助金だったことになりますね。
もっとも、ここ10日ほどの間に円安に振れたため、今は値段が上がっている可能性があります。
また、コロナが明けてから、一番高かった時期は、2022年6月20日で215.8円と言われています。
これは、ロシアとウクライナの間で戦争が起こった影響が大きかったのですが、円安の今もコロナ前と比べるとかなり高い水準になっています。
【トリガー条項って何?】
そこで、最近よく耳にするのが、
「トリガー条項」
という言葉で、これはいったい何なんでしょうか。
<トリガー条項(発動と解除の条件とは)>
①現在課されているガソリン税は53.8円(本則28.7円+当分の間税25.1円)
※「当分の間税」という税の名前です。ややこしいですね。
②ガソリン価格が3か月連続で160円を上回ると、それがトリガー(引き金)となって、ガソリン税53.8円のうち当分の間税25.1円の部分が免除される。
>>これが「トリガー条項<発動>」です。
③トリガー条項が発動している状態で、3か月連続でガソリン価格が130円を下回ると、再び当分の間税25.1円が課されます。
>>これが「トリガー条項<解除>」です。
【トリガー条項が凍結されている理由】
ここまで見て、(あれ?)と思いますよね。
ガソリン価格が160円を3か月以上超えてるのに、税金そのまま取られてるよね?と。
これは、なぜかというと、東日本大震災が起こったため、ガソリン価格が160円を超えていても、復興財源として、トリガー条項を凍結して(当分の間税)を取り続けることにしたからです。
それが震災から10年以上経った今も、そのまま凍結され続けていることになります。
そこで、円安や世界の需給の関係でガソリン価格が高騰している今、これを凍結解除して、トリガー条項を発動させるべきではないのか、というのがここ最近議論されていることになります。
トリガー条項凍結>凍結解除>発動>解除って、なんかちょっとややこしいですが、平たく言うと、「ガソリン高いんだから、従来の約束通り25.1円税金取るのやめましょうよ。」ということです。
【トリガー条項発動でガソリンは本当に安くなるのか?】
では、仮にトリガー条項を発動したとしましょう。
単純に25.1円安くなるんでしょうか。
可能性はあります。
しかし、その可能性は限りなく低いと思われます。
それがどうしてなのかを説明します。
思い出していただきたいのは、現在のガソリン価格は政府の補助金込みの価格で、補助金がない場合180円~200円前後となるということです。
恐らく、政府はトリガー条項を発動した場合、この補助金を打ち切ることになると思われます。
となると、円安やガソリンの元値によっては、25.1円では補助金の額に届かず、むしろトリガー条項発動前よりも、高くなることも考えられます。
(いやいや、補助金を打ち切らずにトリガー条項を発動すればいいじゃない)と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうするとどうなるのか考えましょう。
【補助金+トリガー条項発動で招く円安】
まず最初に、為替は諸外国との相対的な様々な要因によって変化する、ということを押さえてください。
例えば、日銀が利上げを行ない、米連銀が利下げを行なうと、円高に振れやすくなります。
これらを考慮せず、「為替の変動要因を補助金+トリガー条項発動のみに絞った場合」為替は円安に振れます。
なぜ、円安に振れるか説明します。
仮に、米ドルと円のレートが1ドル150円だったとします。
ある日アメリカが「明日からドルを刷りまくって今までの100倍に増やして自国民にバラまくけど、レートそのままね。」と言ったら、日本の商品は100倍買いあさられて、市場は崩壊します。
こういったことが起こらないよう、レートはその国同士の相対的な需給によって変動します。
単純に考えた場合、1ドル150円のレートが、明日から米ドルが100倍の量になるなら、1ドル1.5円でないと取引がおかしくなる訳です。
上記はあり得ない極端な例ではありますが、日本が補助金を発行するということは、つまり国債を発行して、円の総量を増やしている行為なのです。
そして、円の価値は国力や政治の安定性、税収などによって担保されています。
このうち、トリガー条項発動によって税収が減る訳ですから、それは「国債発行によって円の総発行数を増やして、税収を減らす行為」となります。
つまり、「円を増やしてその価値を棄損し、円安を招く行為」となる訳です。
たくさんあるより、レアなものほど価値が高くなるのは貨幣も同じなのです。
【結局、ガソリンはトリガー条項解除では安くならない可能性も】
補助金+トリガー条項発動でガソリンが安くなると思ったら、円安が進んで、かえってガソリンも含めて、それ以外の全ての輸入品が高くなる可能性すらあります。
ただ、先ほども書いた通り、為替は様々な要因で日々レートが変化するため、必ずしも円安に振れるわけではありません。
とはいえ、円安の要因になることは間違いない訳です。
トリガー条項発動すれば、ガソリン安くなってみんな幸せになる、というのはちょっと待って欲しいな、と思います。
野党もマスコミもしきりにこのトリガー条項を争点にしますが、本当にトリガー条項が発動したらどうなるのか、という検証が不十分なのではないかな、と考えています。
みなさんもトリガー条項を発動したほうがいいのか、あるいはそのまま凍結したほうがいいのか、今一度考えてみませんか。
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