マイナカード 政府VS国民

皆さんはマイナンバーカードをお持ちでしょうか。
私はポイントが付与されていた期間に作って持っていますが、持ち歩くと紛失の危険があるので、家に保管しています。
確定申告や諸々の申し込み手続きで便利だな、と思う反面、健康保険証として使うとなると、通院する時に持ち歩く必要が出てくるので、少々戸惑っております。
どうして、政府は国民が反発するにもかかわらず、強引ともいえるほど健康保険証と紐づけしようとしているのか、について考えていこうと思います。


【カードを持っていない人でもマイナンバーはある】


まず、念のために正しておきますと、マイナンバーカードを作っていなくても、マイナンバー自体はすでに国民全員にふられています
「番号で管理されるって囚人じゃないんだから」と反発する人がいるかもしれませんが、日本人である以上すでに手遅れです。

カードを発行しなければ、自分にはマイナンバーは関係ない、というのは違う、ということですね。

 


【マイナンバーカードとPayPayカードの戦略は似てる?】


マイナンバーカードの20000ポイント付与キャンペーンがあった時、PayPayカードも10億や100億のキャッシュバックキャンペーンがありました。
私は、この二つを見ていて、非常に似ているな、と考えていました。
しかも、マイナポイントをPayPayカードに付与できるので、相乗効果もあるし、面白いこと考えてるな、と思っていました。

<マイナンバーカード>

(投資ターン)
決済サービスとの紐づけ(5000円) + 健康保険証との紐づけ(7500円) + 公金受け取り口座登録(7500円)
 = 計20000円分のポイント
これらが税金から支払われます。

(回収ターン)
後々、国民一人一人が年金をいくら受け取ったか、どれだけのお金を使ったのか、を管理し、税金のとりっぱぐれを無くす目的があります。
だからこそ、わざわざ初期投資として、税金からポイントを払ってまで、これらを紐づけさせた訳です。

<PayPayカード>

(投資ターン)
10億円・100億円キャッシュバックキャンペーンで、使うだけお得、と銘をうち大量のCMを流して、マイナンバーカードとの紐づけを狙って、一気にカードを作ってもらう。
ものすごいお金がかかっていて、PayPayカード株式会社の親会社のソフトバンクの決算では、この投資ターンではマイナンバーカード事業は赤字になっていました。

(回収ターン)
大量に顧客を囲い、作ったカードを使い続けてもらって、手数料を多くの人から取ることで継続的に収益を上げます。
もう、大規模キャンペーンもテレビCMも見なくなりましたよね?
つまり、回収ターンに入りつつあるということです。

このように、赤字覚悟で一気に利用者を囲う(投資ターン)の後、必ず(回収ターン)があるのが非常に似ています。

 


【私がPayPayカードをすでに使っていない理由】


既存のクレジットカードの割引とポイントを、回収ターンに入りつつあるPayPayカードの現在のサービスと比較した結果、クレジットカードのほうがお得だったから、です。
そもそも、店ごとにQRコードの決済方法が微妙に違って、後ろの人を待たせたりしないか、そわそわして面倒なんですよね。
クレジットカードで暗証番号やサインの手間を省くサインレス決済さえできれば、電子マネーと何が違うのか、となりますし。

投資ターンでは、ありがたく果実を頂いて、回収ターンには付き合わない、そして、紐づけしているカードを使わないということは、政府に私が何にお金を消費したか知られずに済みます。
サラリーマンとして納税していますし、必要なら確定申告もきっちりしていますので、やましくはないのですが、管理されるのはあまり気分が良くありません。
これが私がPayPayカードを使わなくなった理由です。

 


【マイナンバーカードを政府が使わせたい理由】


もう、なんとなくわかって来たのではないでしょうか。

❶税金のとりっぱぐれと不正受給を無くすため。

障害年金、老齢年金がどれだけ支給されていて、どれだけ医療費がかかっていて、買い物をどれだけしたのか、が分かれば、個人の本当の収支が見えてきます。
例えば、芸能関係や日雇いで日当手渡しの場合、確定申告をわざわざして税金を支払う人のほうが少ないですよね。
でも、本当は確定申告をして、納税しなくてはいけないので、大きな買い物をした場合、収入に見合ってないとみなされると、税務署から突っ込みが入る可能性が出てきます。
また、ウソの障害申告をして、障害年金を不正受給している場合、通院してないことがバレて、受給がストップする可能性もあります。

❷社会保険、年金、医療、法人所得など、バラバラに管理していたものをITで一元化し、それぞれに必要だった人材を統合して、コストカットするため。

民主党時代にマイナンバー制度を国会で通したのですが、その目的を岡田克也議員が、このように明言しています。
現在、これを自民党が運用していることから、党派を超えて必要と考えているから、行われていることになります。
管理が一元化するので、不正受給などをあぶり出しやすくなる利点もあります。

❸毎年の後期高齢者医療保険や健康保険証の送付を無くすことで、数百億円の節税するため。

手帳を作り、職員が封筒にそれを入れ、簡易書留で送付する、といった一連のコストを無くすことが出来るからです。

 


【政府VS国民 マイナをめぐる勝負の行方】


政府としては、不正受給や脱税対策のためにも、取得したい国民だけでなく、取得したくない国民(不正受給者・脱税者)にも強制的にマイナンバーカードを使わせたいと考えているはずです。
ここまで国民に反対されているにも関わらず、現状方針を中々撤回しないのは、そういった理由があるからです。

国民の立場では、健康保険証として持ち歩くとなると、紛失や盗難のリスクが大きくなります
これを悪用されたらどうなるのか、という不安が常に付きまといます。
また、行政のミスで他人の情報が紐づけられるパターンや、年配の一人暮らしでも、煩雑なマイナンバーカードの取得をしなければならないのは大変です。
一方、不正受給や脱税など後ろめたいことをしている方からすると、上記のリスクを並べ立ててでも反対したくなる訳です。

国民を管理して、コストを減らして税収を増やしたい政府と、マイナンバーを強制されることを嫌う国民。

双方の駆け引きに今後も注目です。