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ウクライナでの戦争の行方は世界経済と株にも関わってくると思うので、今回は、ウクライナの戦況について、考察したいと思います。
【ウクライナ反転攻勢の現状】
欧米から最新の戦車や戦闘車両を供与され、準備された反転攻勢がついに始まったのではないか、との報道がありました。
そして、それから約1週間の間に、ウクライナは2km前進し、いくつかの集落を奪い返したという報道もありました。
私がこの報道を見て感じたのは、「あれだけの戦力と準備期間があった反転攻勢にしては、進んでいない。」というものでした。
ちなみに、ウクライナ支配地域からクリミア半島の付け根まで南北100km以上の距離があります。
一番勢いがつくはずの初動1週間で、2km進軍ということは、もうこれは相当、戦術目標達成は厳しいということになります。
【ドイツのフランス電撃作戦と比較する】
第2次世界大戦当時、ドイツはポーランドをソ連と分けた後、ベネルクス三国(ベルギー・オランダ=ネーデルランド・ルクセンブルクの3国)とフランスに侵攻しました。
ドイツがポーランドに侵攻した時点で、フランスとイギリスはドイツに対して宣戦布告しており、開戦からすでに半年以上が経過していました。
また、フランスにはイギリスからの援軍も入っている、そんな状況でドイツの電撃作戦は始まりました。
フランスはドイツとの国境付近にマジノラインという強力な要塞防御線を築いており、ここを抜くのは不可能と言われていました。
しかし、ドイツはハインツ=グデリアン大将指揮のもと、参謀のマンシュタインの立てたプランに従って、戦車で進撃するのは不可能と言われたベルギーとフランスの国境にある北部アルデンヌの森を抜けて、一気にフランスに侵攻します。
それは、木を倒し、森を切り開いて強引に戦車を進撃させるというものでしたが、結果的にフランスが全く予期していなかった方向からの攻撃となり、不意を突かれたフランスは混乱、大潰走しました。
その進撃速度は、1日に10km、10日で約100kmというもので、あっという間にドーバー海峡のダンケルクにフランス軍を追い詰め、約1か月半でフランスは降伏しました。
ウクライナ軍の1週間で2kmの進撃に比べると、どれだけ早いかが分かります。
【ドイツ戦車が優れていたからフランスは負けたのではない】
何が言いたいのか、結論から申します。
「ドイツは戦術が優れていたから、フランスを短期間で降伏させることが出来た。」ということです。
以下はその根拠です。
よく言われるのは、「ドイツの戦車は優れている。」ということですが、当時のドイツは2号戦車が主体で、3号戦車も配備されていたものの数が少なく、イギリスのマチルダ歩兵戦車やフランスのルノー戦車に有利とは言えない状況でした。
現に、3号戦車の砲撃をもってしても、マチルダ歩兵戦車の正面装甲を抜くことが出来なかったという記録もあるほどでした。
また、有名な5号戦車パンターや重戦車ティーガーが戦場で活躍するのは、数年先のことです。
<フランス侵攻時のドイツ:英仏連合軍戦力比較>
ドイツ軍:歩兵約335万 航空機5638機、戦車2445両、野戦砲7378門
連合軍:歩兵約330万 航空機2935機、戦車3383両、野戦砲1万3974門(wikipediaより抜粋引用)
いかがでしょうか。
確かに航空戦力はドイツが圧倒していますが、歩兵は互角、戦車や野戦砲は連合軍の配備数が有利です。
とても、短期で決着がつくとは思えないほど、戦力が拮抗していることが分かると思います。
【NATOや日本の報道がウクライナの邪魔をしている】
私が長々とドイツのフランス電撃作戦について、解説したのには理由があります。
素晴らしい戦術とは、敵にこちらの意図を覚らせず、まさか来るとは思わないタイミングで、来るとは思わない場所を攻撃し、一気に決着をつけることです。
そうすることで、敵に立ち直る暇を与えず、自国の兵の損失を避けて、一気に領土を奪還することが出来ます。
しかし、残念ながら、日本やNATOは反攻作戦より前に、わざわざ公共放送で、「もうすぐ反攻作戦が始まるかもしれない。標的はクリミア半島の東側で、クリミア半島とロシアを分断することが目標だ。」と解説し、報道していました。
私は、クリミア半島とロシアを分断するという意図は理解できるものの、事前にロシアにも視聴可能な公共放送で、わざわざご丁寧に何度もこういった放送を繰り返すことに疑問を抱いていました。
もしかしたら、ロシアのミスリードを誘って、全然関係ない攻撃目標をあたかも攻撃目標かのように報道しているのだろうか、と考えもしましたが、いざ反転攻勢が始まると、報道通りの攻撃目標のようで驚きました。
こんなことをすれば、ロシアは該当地域の防御を固め、ウクライナ軍は、フランス戦線で言う要塞防御線マジノラインに突っ込んでいくようなものになります。
実際に、ウクライナの反転攻勢は苦戦し、遅滞しているようです。
そして、ウクライナ人が大切な家族や友人を戦場で無益に失う羽目になる、と私は思うのです。
【報道の正確さは必要だが・・・】
私は報道は正確で公正であるべき、だと思っています。
ただ、それはあくまで起こった結果に対してであり、作戦開始前にベラベラと予想される作戦を解説することは、敵国に情報をリークしているようなものです。
実際に反攻作戦が始まってから、その事実に気づいたのか、あるいは戦況が好転せず、報道すべき内容がないからなのか、は分かりませんが、ウクライナ関連の報道は現在減っています。
いかに、国民が関心を持っていることとはいえ、現地ではそれこそ死力を尽くして戦っている状況な訳です。
すでに先進国が偵察衛星を持っている時代とは言え、アメリカ以外の国は、アメリカほど正確に状況を把握できるわけではありません。
情報はそれこそ命に関わるのです。
私は、公共放送も報道の仕方をもう少し考えるべきなのではないか、と今回の一件で思いました。
最後に、ウクライナの人々が無事国土と平穏を取り戻し、ロシア人も含めて、独裁者の野心のせいで戦場で死ぬ人がいなくなる日が少しでも早く訪れることを切に祈ります。
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