米インフレ上昇=日本の物価上昇

アメリカの6月の消費者物価指数(CPI)=インフレ率が発表されました。
その数値は予想を上回る9.1%であり、直近40年で最高の伸びを更新しました。
それがアメリカの株価や日本の物価にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。


【米インフレ率上昇>金利上昇>円安>日本物価高】


「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、このように、アメリカのインフレ率が上昇すると、最終的に日本の物価が上がります。

6月のインフレ率9.1%という値は、物価安定を図るFRBの想定を遥かに上回る悪いものだったことは想像に難くありません。
したがって、7月24日~26日に行われるFOMCでは、当初0.5%か0.75%の利上げが発表されると市場では予想されていましたが、0.5%の線は消えました。
個人的には0.75%でほぼ確定だと考えています。

(私の独断と偏見による次回FOMCのアメリカ利上げ予想)

利上げ幅0.5%(確率1%)
利上げ幅0.75%(確率95%)
利上げ幅1%(確率3%)
利上げ幅1.25%以上(確率1%)

私が仮にパウエル議長の立場であれば、あと2週間で余程の経済を揺るがすニュースが出ない限り0.75%を選択します。

つまり、アメリカの預金利率が上がるので、米ドルとして預金したほうが利息が付きます。
そのため、円売りドル買いが起こり、円安ドル高になります。
元々、どんどん値上がりしている海外の物資を価値の下がった円で買うので、輸入コストがとても上がります。
その輸入コストは企業努力をぶち抜いて、私たちの生活必需品の値段を上げて、物価高となるのです。


【日本の物価はどうなるのか】


日銀が7月12日発表した6月の国内企業物価指数の速報値は前年同月比46.3%でした

これは1981年以降で、過去最高です。

一方で、インフレ率はひと月前の5月のものではありますが、2.1%と世界各国に比べて低インフレ率です。
これは、

賃金上昇がほとんどないため、購買意欲が低く、企業がその状況で値上げしづらいからというのが1点。

もう1点は、

商品価格の値上げを予告してはいるものの、まだその時点に到達していないから

というのが、挙げられます。

例えば、「3月の時点で、7月~〇〇円値上げします。」と企業が発表したとします。
ということは、現実ではすでに値上がりしているものの、7月の統計はまだ出ていないため、インフレ率が上がっていないことになります。
もし、皆さんがもっと上がってるように感じるのに、インフレ率が低いんじゃないかと思ったらそのせいか、インフレ率の指標に食料品を含めていないから、だと思います。

国内のこれからの物価はどうなるかというと、企業物価指数とインフレ率の乖離を考慮すると、残念ながらこれからもっともっと上昇してくるでしょう。
46.3%も輸入コストが上がっているのに、2%のインフレで収まると考えるのが不自然だからです。
45年前のオイルショックに次ぐ規模になる可能性が高く、当時とは違い労働組合の力も弱く、賃金上昇も期待しづらいため、生活が非常に苦しくなることが予想されます。


【企業業績と株】


また、企業も企業努力と称して、人件費抑制によるコスト圧縮を図る可能性があるので、特に輸入関連企業は厳しいでしょう。
一方、コストを輸入企業にかぶせて、輸出していける企業は、円安の好影響をうけて、今後も利幅を拡大することが出来ますから、期待できます。

ただし、今の日銀総裁ではしないかもしれませんが、日銀が利上げを決断すると、基本的には円高に振れますので、日銀の動向にも注意してください。


【国債を発行して、インフレ対策は本末転倒】


アメリカが、なぜ利上げとQT(量的縮小)をしているかというと、市場に出回るお金を減らして、インフレを抑制しようとしているからです。
もちろん、アメリカと日本は状況が違いますが、インフレを起こしているのに、国債を発行して市場に出回るお金の量を増やすということは、対ドル・対物品で、更に円の価値が低くなります。
したがって、一時的には、生活の支えになりますが、円が刷られて総量が増えるということは、円の価値がなくなるので、更なるインフレを招きます。

将来、精神や身体がボロボロになるのを分かっていても、今の苦痛を耐えるために打ち続けているのです。
まさに国家の麻薬といっていいでしょう。

スリランカと同じ轍を踏んではならないのです。