スリランカの破産を教訓に

スリランカが7/5に破産しました。
実は、すでに5月の段階でデフォルトしていましたが、状況が更に悪化し、改めてウィクラマシンハ首相から破産宣言が出されました。
日本もスリランカにかなりの額を投資していましたが、回収不能になるかもしれません。


なぜスリランカは破産したのか


スリランカは、元々セイロンティーで有名な観光立国でした。
しかし、国内はラジャパクサ一族によって牛耳られ、人気取りの国債に頼った減税やバラマキ政策が数多く行われていました。
そして、今回のコロナ禍で観光客が激減したことが最後の一押しとなって、ハイパーインフレが起こり、デフォルト>破産の流れになりました。


スリランカはこれからどうなるのか


スリランカでは、今もインフレが進行しており、人々は食べ物にも困る状況になっています。
今後、今の状態を少しでも改善するには、国土を切り売りするか、諸外国に価値のあるものを担保にお金を借りるしかありません。
本当に悲しい事態ですね。


日本も危険


日本でも大量に積みあがった国債があり、GDP比では破産したスリランカの2倍ほどで、不名誉なことにすでに破綻したベネズエラに次ぐ世界2位です。
海外資産や国民の貯蓄などを担保にしているため、まだなんとか持ちこたえています。
とはいえ、今後スリランカのように日本の保有する海外資産が回収不能になった場合、確実に悪影響があります。
また、アメリカの利上げの影響もあって、円の価値はこの半年で対ドルで20%以上暴落しています。
このまま、国債をどんどん増やして、減税・バラマキを行なえば、いずれ遠くない未来その代償を払わなくてはいけません。


デフォルトをしそうだと言ってデフォルトした国はない


これはどういうことかというと簡単で、国家が「そろそろデフォルトしそうです」なんていった次の瞬間に騒ぎが起こって、実際にデフォルトするからです。

❶デフォルトしそうということは預金封鎖が起こる可能性がありますよね。
❷人々は現金を引き出すために銀行に殺到します。
❸日本国債は、国民の預金を担保にしている側面もあるため、信用が一気に低下します。
❹実際に混乱を避けるために、銀行が封鎖され、その他の職種も含めて機能不全を起こします。
❺混乱下で、対外債務支払いが出来ずにデフォルト>破産

となります。

従って

国家は、デフォルトは仮にしそうであっても、するとは絶対に言えませんし、言いません。

というよりも、国家も国民にもデフォルトの正確な時期を計ることは不可能であり、「デフォルトはしない、大丈夫」と言い続けるしかないのです。
これを勘違いして、国が大丈夫と言ってるから大丈夫、と考えるのは、都合の悪いことから目を反らしているだけではないでしょうか。
景気動向と同じで、デフォルトは実際にデフォルトしてから、デフォルト宣告を受けたり、デフォルト宣言をします


スリランカの破産はスリランカ国民の責任


スリランカの例ですが、国債を発行して、減税・バラマキをして、自国通貨の価値が下がったことが原因で破産して、今国民はハイパーインフレで苦しんでいます。
元々は、国民を幸せにしようとして、減税やバラマキをしたわけですし、当然国民もそれを支持したからこうなったんですよね。
ということは、スリランカの破産は国民の責任です。
日本も参議院選挙を前に、減税やバラマキを公約にする政党ばかりで、財政健全化のために苦しくても今頑張ろうというような政党がありません。
それは、国民が目の前の幸せを追求して、そのせいで将来苦しむ可能性から目を背け続けているからです。


子供や孫の世代に本当に素晴らしい日本を残したいなら


もし、財政健全化を果たそうとすると、相当いばらの道になります。
すでに、国債は1000兆を超えていて、これの返済利子だけで相当になるからです。
そもそも国債なんて発行していなければ、毎年20兆以上も予算を食われないで済んでるはずなのに、毎年当たり前のように新規国債発行に頼ってこの体たらくです。
仮に、災害などの国難で、国債を発行したとしても、その都度きちんと返済していれば、国債関連の支出20~30兆円を普通に予算として使えたはずです。
国債返済のために国債を発行するという意味の分からない自転車操業をしているわけですね。
自分の知り合いがこんなことしてたら、呆れるか心配しますよね。
国だから大丈夫という人がいるかもしれませんが、あり得ません。

国債が増えても大丈夫(であって欲しいため)、それを大丈夫と理論強化してくれる政治家や学者の言う事を鵜呑みにして、よく考えるとマズい状態なのは明白なのに、見て見ぬふりをするのはいかがなものでしょうか。


借金とは何かを考える


借金とは、本来今の状態では手に入れられない幸福を手に入れるために、利子を支払うリスクを負って、幸福を前借りする行為です。

逆に言うと、将来に借金返済という不幸を先送りにしているわけです。
すなわち、借金が膨らむということは不幸が膨らむのと同じです。

国債も同様です。

個人であれば、自己破産すればある程度の制約をともなうものの借金はチャラになりますが、国家の場合破産すると、資産を切り売りしなければならなくなるかもしれません。
すなわち、国土を他国に奪われたり、国民が出稼ぎに行って奴隷のごとく働かねばならない状況になる可能性があるということです。


スリランカの二の舞にならないために今出来ること


国債を発行し続けたスリランカは、今、ハイパーインフレで食事にも困る状態です。
そんな中、借金まみれの日本はのんきに本当に快適な暮らしをしています。
役所は平日なら開いていて、道路も綺麗。
医療体制も充実していて、老人にも比較的福祉が行き届いています。
国民一人一人を本当に大切にしていて、日本は素晴らしい国です。
しかし、もし国債を発行していなければ、こんな生活できません。
なので、諦める部分は諦めて、予算を縮小し、今のうちにある程度の不幸を味わっておくことで、将来に日々の食べ物にも困るような大爆発することを防ぐべきと考えます。
江戸幕府で徳川吉宗が享保の改革によって、財政を立て直したように、財政再建を苦しくても今のうちに進めなければ、将来日本でもハイパーインフレが起こることになります。
享保の改革は鎖国だからできたとか、色々言われそうですが、肝心なのは一つで、これからの世代に幸せを残して、出来れば大きくしてあげたいということです。
なぜ失われた30年と言われるのか、というと、前の世代がこれからの世代のことよりも、自分たちの目先の幸福を優先した結果です。
あれも欲しい、これもやってくれ、と言って、将来の世代を食い物にするだけでなく、もういいですよ、十分です、だから借金増やさないでください、というのが大人の義務ではないでしょうか。
財政出動を緩めれば、景気が後退して、大変なことになるというのは政治家や緩和派の常とう句ですが、景気後退のほうがハイパーインフレより断然マシです。
財政出動も、今現在と少し先しか見ておらず、国債を発行する以上、幸福の前借り、将来の不幸の育ての親にすぎません。

スリランカと同じ轍を踏んではならないのです。