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IT・クラウド関連企業は人気があります。
のちに人気が凋落するとしても、少なくとも上場直後からしばらくは、他の分野に比べてかなり人気が高く頻繁に取引されると言って良いでしょう。
では、なぜIT・クラウド関連企業は人気が高いのでしょうか。
【IT・クラウド関連企業が人気の理由①】
皆さんはGAFAMをご存じでしょうか。 恐らく、株に興味のある方であれば、知っている方も多いと思いますが、米国の超巨大企業5社のことです。
この5社を、その主たる生業と併記すると下記の通りになります。
G(Google)株式名はアルファベット:ネット検索エンジン最大手
A(Apple):アップルコンピューター・スマートフォン
F(Facebook):フェイスブック
A(Amazon):ネット通販最大手
M(Microsoft):ウィンドウズ
どれもコンピューターやインターネットが深くかかわっている企業だということが分かると思います。
しかも、この5社は米国市場に上場してから10~35年程度の間に10倍~1000倍以上に株価が値上がりしています。
(出所:TradingView)
上図のように、まさにアメリカンドリームを体現していると言っていいでしょう。
つまり、『IT・クラウド関連企業が人気化する背景には、この5社のように育って自分に利益を返してくれることへの期待感がある』ということです。
【IT・クラウド関連企業が人気の理由②】
もう一つは単純に未来を感じさせるからです。
株式市場では、常に未来を予測して株価が上下していきます。
そう考えると、例えば鉄鋼や石炭を扱っている企業より、ITやクラウドのような新しいキーワードを携えた企業のほうが、これから伸びていくことを予感させるので、人気化しやすいのです。
実際に、IT・クラウド関連企業の株式の株主に「クラウドってなんですか?」という質問をして、うまく説明できる人はそれほど多くないのではないでしょうか。
要はイメージの問題です。
そして、IT・クラウド関連企業がIPO直後から人気が出るのを、分かっている人も多いので、その波に乗ろうとする人もいて、さらに人気化するという状況になりやすいです。
【IT・クラウド関連企業が人気の理由③(重要)】
上記、二項目では
①先行するIT企業で大成功した例があること
そして、
②未来を感じさせるイメージがあること
を人気化しやすい理由としてあげました。
ただ、これだけで人気が出ているわけではなく、IT・クラウド関連企業には利益を生み出しやすい構造上の有利さがある、ということも考えなければいけません。
例えば、
スーパーマーケットの経営を考えてみましょう。
スーパーマーケットでお客様に商品を提供するまでには様々な経費が掛かります。
★店舗の土地代
★建物を借りていたらリース代
★光熱費
★商品の仕入れにかかる原価費
★レジや店長の人件費
★物流にかかる費用
★保険代
★修繕費の積み立て
★冷蔵システムの維持管理費
★食品が腐ってしまった時の廃棄費用
などなど
素人の私がすぐに思いつくだけでも、これだけの費用がかかります。
しかも、人件費は小規模のスーパーマーケットであっても、休暇なども考慮すると最低10名分程度は必要になるでしょう。
このように利益を上げるには大変な経費がかかっていることが分かります。
では、IT・クラウド関連企業ではどうでしょうか。
例えば、一人の天才的な人間が、だれもが使いたいと思うような画期的なソフトを生み出したとします。
そして、そのソフトをウェブ上で公開して、お金を取ったとしたらどうでしょう。
せいぜいかかるのは、
☆パソコンの費用
☆電気代
☆プロバイダー費用
☆サーバーのレンタル費用
くらいではないでしょうか。
しかも食品と違って腐る心配もありませんし、ソフトが売れ続ける限り、何もしなくても収益が入り続けます。
IT・クラウド関連企業の例は、幾分極端に書きましたが、私が言いたいのは、経営にかかる経費にとてつもない差がある、ということです。
従って、経費がかかりにくく、利益を上げやすいIT・クラウド関連企業が人気化しやすいのです。
【IT・クラウド関連企業が陥りやすいワナ】
上記の通り、これらのセクターは人気化しやすいのですが、人気化しやすいということを言い換えると『期待値が高い』ということになります。
『期待値が高い』ということは、PERなどの数値を見ればすぐわかるのですが、これらのセクターはIPO直後からしばらくの間は平気でPER100を超えていたりします。
PER100というと、PER20を適性値と考えた場合、今後純利益が軽く5倍を超えてくるだろう、という将来の成長を織り込んだ値になります。
しかも、上場に際して無理に期ずれ案件などを決算に合わせている場合もあるため、実際は赤字なのに上場時のみ黒字になっていることすらあります。
そういう期待が膨れ上がった状態であっても、会社が年に2倍、3倍とどんどん成長しているうちは問題になりません。
しかし、何かの要因で期待に届かなかったり、派手にこけてしまったりすると、膨れ上がった期待が一気にはじけ飛び、大暴落を引き起こすことも多いので、注意が必要です。
下記の図は、AIINSIDE(エーアイインサイド:4488)のIPO直後から2021年9月1日までのチャートになります。
(出所:TradingView)
図を見ればわかる通り、当初はIT系の契約更新型のストックビジネスということで、大変人気になりました。
大口の契約もついて、どんどんと伸びていきそうでしたが、2021年に変わる頃になると、利益確定や成長鈍化懸念などで雲行きが怪しくなります。
更に、2021年4月28日に発表されたIRで、実に売り上げの80%を超える大口の契約が解除されたということで、株価は一気に下落し、現在はIPO直後の価格を下回るほど低迷しています。
下で買った株主はまだしも、株価の天井付近で買って、『いつか上がるはず』と、持ち続けていた株主の阿鼻叫喚が掲示板上で繰り広げられていたのも記憶に新しいです。
このようなケースは予測も難しく、本当に不幸というほかないのですが、期待感が短期で膨らみすぎてしまった結果、大暴落を引き起こした一つの例として、あげさせていただきました。
冷静に考えてみると、そうそう都合よく会社は2倍3倍と成長するものではありません。
例えば、皆さんが会社勤めをしているとして、今の社員数が100名だとします。
来年は社員数が200名、再来年500名、3年後には1000名を超えている会社の姿を想像出来ますでしょうか。
厳密には純利益は、社員数と比例していませんが、2倍、3倍の純利益を消化できる会社の規模に成長すると考えると、やはりある程度社員も増加する必要があります。
稀にこういう会社はありますが、簡単に見つかるものではないことが想像できると思います。
GAFAMのような企業は簡単には見つかりません。
GAFAMが成長する過程で、係合する企業は数多淘汰されています。それは、両手ですくいあげた砂粒の中から、砂粒と同じサイズの小さなダイヤモンドをつかみ出すくらい難しいことです。
とはいえ、そういう企業が存在するのもまた事実です。
そこが投資の面白いところでもありますので、もし下がっても後悔しない範囲で思い切って投資してみるのもいいかもしれませんね。
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