インフレ本格化は夏から秋

2022年4月13日、鈴木財務大臣より

「原材料を価格に十分転嫁できないとか、賃金がその伸びを補うように延びていない『悪い円安』の状況といえるのではないか。」

との発言がありました。

つまり、明確に悪い円安が起こっている可能性を政府が認めたことになります。

では、この悪い円安によるインフレは今後どうなっていくのでしょうか。


インフレは半年遅れてやってくる


これは、原材料の高騰の影響が実際の生活必需品に反映されるには、半年かかると言われるからです。

以下のサイクルにより、消費者への影響は遅れてやってきます。

<インフレサイクル>

原材料費が高騰すると、当初は企業努力でなんとか商品価格への影響を抑えようとします
(理由①:賃金の伸びが低い日本人は、商品が高騰するとすぐさま買い控え、売り上げが落ちるため。)
(理由②:企業努力で耐えているうちに、原材料費の価格が落ち着いてくれるのを待つため。)

原材料費の高騰が長引くと、企業の利益が圧縮され、値上げで売り上げが落ちる以上の利益上の打撃を受けるため、様子を見つつ値上げに踏み切ります

原材料費の高騰がさらに長引いたり、あるいは更に進む事態になると、改めて消費者に転嫁しなくてはならなくなります

現在はこの❷番目に相当する段階と見てよいと思います。

従って、このままインフレをめぐる世界の動向が落ち着かない場合、春に値上げした企業が更に夏以降に再び値上げするような事態も十分考えられます。


現在の補助金なしのレギュラーガソリン価格は実質190円台


これを抑えるために、コロナ対策などに組んだ予算を転用することで、かろうじて170円台に抑えているという現状です。

しかし、その予算にも限界があるため、5月頃には新たな対策を打たなければ、物流コストの上昇により、更なるインフレを招くことになります。

現状考えられるシナリオはトリガー条項の解除なのですが、これはガソリン税の軽減を行なうというものになります。

なんだ簡単なことだ、と思う方もいるかもしれませんが、もし、それが本当に簡単なことならすでにやっているはずです。

なぜ、ギリギリまでやらないかというと税収が減るからです。

税収が減り、膨らむ予算を国債の発行で補うと、国債の発行額が尋常でないことになります。

そして、それは、日銀が利上げを渋る一つの大きな原因になっていることは以前の記事で述べました。

利上げすると、国債の利払いも膨大になってしまい、日本がデフォルトに大きく一歩近づいてしまうからです。


利上げは出来なくても出来ること


日銀は、もうETF買い支えをやめるべきなのです。

すでにインフレが加速していることが明らかであるのに、これ以上、無尽蔵にお金を市場にまくと紙幣の価値が下がり、更なるインフレを誘発してしまいます。

そして、日本円に対する信頼度の低下が、悪い円安を生み出す最大の要因になっていることを忘れてはなりません。

24000円とも言われるETFの損益分岐点問題や、年金運用問題、投資家が損を被る可能性など、色々考えられるデメリットはあります。

しかし、どれだけ利益が保てたとしても、肝心の商品の値段がどんどん上がってしまえば、結果的に同じお金で買えるものは少なくなり、貧しくなってしまいます

欧米はいち早く金融引き締めに向かっています。

日本も早いこと追従したほうが良いでしょう。


私たちに今できること


今後仮に円安と原油高が落ち着いたとしても、生活必需品への価格転嫁の影響は遅れてやってくること、企業は仮に値上げしても原材料費が高騰した分すべてを価格転嫁できるわけではないので、原材料費の価格が落ち着いても簡単に値段が値上げ前に戻ることは考えにくいからです。

私は、長く保存できる食料、その他の商品を出来るだけ値上げ前に買うようにしようと思っています。