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日本銀行は28日の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(YCC)の修正を打ち出しました。
今回は、そのYCC修正の影響がどのような形で、これから日本経済や株価に現れるのか、考察しようと思います。
【イールドカーブコントロール(YCC)とは何か】
イールドカーブコントロール(以下YCC)は、長短金利操作とも言われています。
日銀が、2016年9月に金融政策として導入しました。
その目的は、
「短期金利をマイナス金利、長期金利を0%程度に抑え、企業や個人がお金を借りやすくする。」
というものです。
そうすることで、企業が設備投資を積極的に行いやすくなったり、個人がマイホームのためにローンをしやすくなったりといったメリットがあります。
つまり、経済を回すために、有効と思われる政策で、これが約7年間にわたって維持されてきました。
【YCC導入の目的と結果】
日銀がYCCを導入した最終目的は、2%程度のインフレ、物価目標の達成でした。
しかし、このような経済刺激策を持ってしても、日本はデフレが改善したとは言い難い状況が続いていました。
理由として考えられるのは、母数の大きい労働者層の賃金が中々上がらず、消費が予想以上に盛り上がらなかったからではないか、と考えられます。
企業は、1990年代の不景気やリーマンショックなどで、過剰に利益剰余金(内部留保)を貯めこむ体質になっており、それが投資や人材に中々向かなかったのが原因と考えられます。
【コロナ後の世界のインフレの影響】
コロナショックの後、主に先進国で過剰に供給された政府からの補助金や止まっていた物流が急に動き出したことにより、世界的に大きな物価の上昇が起こりました。
日本も例外ではなく、欧米に遅れながらもインフレ率が一気に上昇し、3~4%程度と高い水準を維持しています。
同時に、10年物国債の金利も上昇傾向を見せたのですが、日銀がYCCを維持するために、大量に国債を買い入れて、なんとか設定した5%を超えないように維持してきました。
しかし、長年にわたるYCCの影響で、日銀の日本国債保有割合は50%を超えており、異常な状態になっています。
【どうして、YCCは修正されたのか】
長年、YCCに積極的だった黒田前総裁と盟友であった安倍晋三元首相が亡くなったこと、そして、黒田総裁から上田総裁に日銀の総裁が代わったことが大きく影響しています。
そして、すでに日銀が自前で紙幣を発行して、国債を買い入れるのも限界であったことや、金利を無理に低く抑えると、インフレが進んで国民生活を圧迫する恐れがあったからです。
とはいえ、YCCは撤廃されたわけではなく、現状修正されただけです。
1%までの上昇を容認しただけで、1%を超える段階になると、再び国債を買い入れることにかわりはないので、そこは抑えておく必要があります。
【今後YCC修正の影響はどう出るのか】
金利1%まで容認したということで、今までのように無理やり紙幣をばんばん刷って、買い入れることが少なくなるので、円安に歯止めがかかります。
円を刷れば刷るほど、希少性が失われ価値が減ってしまうため、円安になりやすくなります。
現状、日本は対外貿易赤字が過去最高になっており、円安の影響で原材料の輸入額が膨らんで、それが国民生活に値上げという形で跳ね返っています。
従って、円安をこれ以上進まないように歯止めをかける効果はあると思います。
しかし、一方で、借金の金利も上昇しますから、新規にローンを組む、といったことがしづらくなっていくでしょう。
つまり、景気を意図的に少し冷やして、インフレを適度に抑える効果があると見ますが、それが行き過ぎると不景気になるので、この調整が非常に難しいところです。
今後の上田新総裁の手腕に要注目です。
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