創業者社長の会社が良い理由

【なぜ創業者社長の会社の株式がおススメなのか?】


もし、皆さんの中で株式の勉強をこれまでしてこられた方がいたら、「創業者の経営している会社の株式を狙え」というような言葉をどこかで耳にしたことがあるかもしれません。

どうして、そう言われているのかというと、

創業者のこころと2代目以降の社長のこころには、会社に対する思いや熱量に差があるから

です。

今回は、その違いについて、創業者社長がどういう思いで、会社を立ち上げ、株式上場に至るのかについて、考えてみたいと思います。

 


【リーダーになった経験から想像する創業者の気持ち】


私は、以前オンラインゲームをプレイしていて、とある少人数のグループに参加していたんですが、そのグループのリーダーがある日突然、いなくなってしまいました。

そこで残った仲間と離れ離れになるのも忍びないので、新しくグループを立ち上げて仲間を吸収し、そのリーダーになった経験があります。

(いわば、社長が失踪して、残ったメンバーとともに新規の会社を立ち上げ、自分が社長に就任したようなものだと思ってください。)

現実の会社の社長とは違い、責任も軽く、代わりにこれといった報酬も発生しないのですが、気持ち的にはリーダーの立場にならなければ、味わえない思いも何度も経験しました。 恐らく、その経験は会社経営でも共通する点があると思うので、今回お話ししようと思います。

 

一緒にいるグループの仲間がかわいい。手がかかる人がいたとしても、その人もかわいいと思える

私が数名のメンバーと作ったグループは、その後、数年間、私をリーダーとして活動していたんですが、その過程で仲間も増え、私が多忙でゲームから離れるころには数十名規模の集団になっていました。 最初期のメンバーはもちろんですが、後で加入したメンバーについても自分のグループに入ってくれて、うれしかったのを覚えています。

そして、一緒にイベントなどに参加したりしているうちに、リーダーとして、色々と思うこともありました。

それは

『他のグループに加入して、楽しめた可能性があったこの人たちが、あえて自分のグループに入ってくれた以上、より楽しい思いをして欲しい。』

ということでした。

これを会社経営に置き換えると

『他に何万とある会社の中から、わざわざ自分の会社の方針に共感して、会社の一員になってくれた社員に対する社長の思い』

に似たものがあると感じます。 無論、給与面や自宅からの距離など、もっとドライな条件も加味されて選ばれるわけですが、それでもいくらかの共通点はあると思います。

 

株式上場時やそれ以降に株主となってくれた人への社長の思い

根本的に、株主がその会社の株式を購入するということは、株価が上がると思うからです。

そこには

あなたの会社に期待してますよ!なので、会社に私の資金を預けるので頑張って大きくしてください。そして、いつか私に返してくれたらうれしいです。

というメッセージが含まれるわけですね。

つまり、他の株式もある中、わざわざ自分の会社の株式を買ってくれているということは、自分たちの会社の方針に賛同して、期待してくれている、ということです。 そこが、社員と株主の共通している点になります。 そして、まともな創業者社長であれば『社員や株主の期待に応えたい。この頂いた資金でもっと大きなことをしますので、見ていてください!』と思うことでしょう。

社員や株主が、会社についてきてくれるということは、すなわち社長自身が肯定されているのと、同じことだからです。

 

創業者は動きやすい

創業者は常に自分が会社を引っ張ってきたわけですから、何かを始めたり改革したりするのも、他の社員に遠慮せずに実行出来ることが多いです。

逆に大幹部がいる会社に後から入って社長になった立場だと、意見が対立すると、仮に素晴らしい経営方針だったとしても実現しない可能性もあります。

 


【2代目以降や雇われ社長の気持ち】


では、2代目社長や雇われ社長はどうかというと、これは会社によって千差万別と言って良いでしょう。

例えば、トヨタ自動車は創業者以来成功を続けている代表的な会社です。 創業者の豊田佐吉氏は、「発明して、人に楽をさせる。」という理念を掲げ、それが2代目以降にもトヨタイズムとして受け継がれて、トヨタは現在も日本を代表する企業の一つとなっています。

一方で、2代目が継いだものの、数年で会社は傾き、つい最近上場廃止になってしまった会社もあります。2代目の 場合、たいてい生まれた時には親が会社経営をしていて、会社を大きくする過程の苦労も喜びも経験もないわけです。

お金もあって当たり前で、放漫経営をしてしまうこともあります。

これを個人に当てはめると、例えば、しんどい仕事をして、一生懸命貯めたお金を投資に使うとしたら、どの会社に投資するか、真剣に考えるのではないでしょうか。

逆に、最初からお金が有り余っていたら、そのお金を使うことをあまり躊躇しないでしょう。 結果がどうなるかは別問題とはいえ、どちらのほうがより成功率が高いかは、分かると思います。

また、親の作った会社を潰すまいと、過度に防衛的な経営方針をしいて、新しいことにチャレンジできずに尻すぼみになるケースもあります。 これは、親が偉大なために、子の新社長が自信を失ってしまっているパターンです。

更に、雇われ社長ともなると、自分の親の会社ですらありません。

どこかの誰かに頼まれて、引き受けて社長になる訳です。 それにふさわしい技術を持っていたとしても、創業者社長の熱意や思いには到底かなわないのが分かると思います。

ひどいと、『この会社のポストに雇われている数年間、特に問題を起こさなければ良い。』くらいに考えているケースすらあります。

また、実質は会社の顔になっているだけで、中身は他の古参の幹部が牛耳っている場合もあります。 いわゆる、神輿として担がれている状態です。

雇われ社長が思い切って何か新しいことを始めようとすると、古参幹部が一斉に嫌な顔をする、なんてことは良くある話です。

短期ならありでも、長期で投資するのに、そんな成長の見込めない会社に投資出来ないですよね。

とはいえ、外部からの社長が一概にダメという訳ではありません。

現在、逮捕後国外へ逃亡したことでも有名になった日産のカルロス・ゴーン被告は、他方で経営の傾いた日産を立て直したという実績もあります。

 


【創業者だから何でも買いという訳ではない】


 

上記の創業者と2代目、雇われ社長の比較ですが、あくまでも他の会社の条件が同じである場合、創業者のほうが成功する確率が高い、という話です。

ただ、熱意や思いだけで経営がうまくいけば苦労はないですし、創業者でも会社を潰すことは良くあることです。

「この会社は創業者だから買い。」ではなく、他の要素と組み合わせて見るのを忘れないようにしましょう。